昭和61年に久慈市の子供の木のおもちゃを製造する「久慈ウッド」に勤めた「里工房」の里館尚さん。翌、昭和62年には岩手県久慈市の「木売内工房」の立ち上げに参加し、南部赤松を使った家具制作を始めました。その頃、仕事で知り合った東北巧芸舎さんの紹介で滝沢市の柳沢地区に移住を決め、平成2年には岩手山馬返しの近くに工房を構えます。それから20年余り、岩手山麓の静かな環境で南部赤松を使った家具作りに打ち込んでいます。
「赤松の植林地が多い岩手県ですが、工房を構えた頃は、南部赤松を集めるのに苦労しました。」と語る里館さん。松は家具用材としては、他の木材よりは軟らかいため取扱っている工房は少ないといいます。赤松は、製材所で十分に乾燥した板の状態で仕入れ、注文を受けるたびに寸法どおりに切り出して家具を制作しています。
里工房では、お客様のニーズに合わせた家具をオーダーメイドで制作しています。個人のお客様からは、棚やイスなど大きめの家具の制作依頼や修理を頼まれることも多いそう。お客様と直接対話をしながら、家具のサイズのほか、使う環境にあった雰囲気などを感じ取って作品を作り上げていくのだといいます。
赤松で製作された家具は、柔らかく傷が付きやすかったり、置かれた環境でわずかにヤニを吹き出すこともあります。しかし、里館さんは「家具の変化も味として楽しんでほしいですね。」と語ります。
里工房の家具は、山から切り出され、製材で板にされた赤松を使った家具を作っております。本物の木だけでしか味わえない木の質感、手触り感などを生活の一部に自然の素材をくらしの中に取り入れて欲しい。そんな想いが込め、1つ1つ丁寧に造られています。